天狗殺しのメソッド

風が吹くのは天狗のしわざである。

手に持った団扇でバサバサと扇ぎ、それで風を起こしているのだ。
目に見えないのは仕方ない。天狗はものすごい高速で動いていて、肉眼では捉えられないから。

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…もういいだろう。
ここまで書いたのは全て真っ赤な嘘である。
天狗はいないし、風は天狗のしわざではない。

 

何故そう断言できるかというと、より信憑性のある理由を知っているからだ。風が吹くのは気圧差を均一にするためで、さらに辿れば温度変化による大気の膨張・収縮に行き着く。
自然現象を解明する上で、科学はこの上なく明快で便利な武器となる。

 

が、

 

しかしまあ難しい!難しい上に内容は幅広く、一生かけても網羅することはできないだろう。

 

例えば今、この文章はスマホを使って書かれている。しかし俺はその背景にある原理をまったく知らない。
なんか知らないけど文字が打てるし、なんか知らないけどイヤホンから音楽が流れている。怖。

 

脱線した。何が言いたいかというと、「知らないことの方が多い」だ。ホームセンターにあるモノで地球が丸いことを証明しろ!できる?俺はできない。でも丸い。怖。

 

…本題に入ろう。
こうした理解していない/できないものを、ひっくるめて「天狗」と呼ぶことにする。
高度な科学知識はもちろん天狗だし、運勢とか人間関係といったものも天狗の一種だ。

 

実は今、こうして命名したことで本文の役割は9割がた終了した。これ以降俺は、そしておまえは、あらゆる未知の現象や理不尽を「天狗のせい」として片付けられるようになったのだ!

 


…………………………。

 


冗談ではない。
ハーンこいつ何言ってんの?みたいな事言うやつは屈強な黒服に連れていかせた。
まだこれを読めているおまえは選民であり、誇るべきだ。\えらい!/

 

そもそも不可知のものを擬人化する手法は大昔からある。「豊穣の神」とか「雨の神」とか聞いたことあるだろう。分からないもの全てを天狗に押し込める手法は、ある意味で原点回帰なのだ。

 

それでは、雨や豊穣を神様にして、その後何をしたか。答えは、祀った。祠を建てたり祈ったりした。

 

科学の、つまりは天狗不在世界のモノサシで言うと、この行為は全くの無意味だ。それでも古今東西、似たことが行われてきた。

 

すると、こう考えることができる。
求められているのは、実際的な見返りではない。「自分はちゃんと対策したぞ!」という事実ではないだろうか。

 

つまり「俺は止めたからな!」と言う奴の心理状況である。
仮に雨が降ったところで、祭との因果関係はわからない。「どーせ何もしないでも降ってたわ!」と叫んでもよい。むしろ、現代の見方ではそうするのが自然かもしれない。でも、ほんの数十世代前までは確かに行われてきたことだ。

 

これは思い込みの力と言い換えてもよい。
偽薬(プラシーボ)効果というやつだ。医者に渡されたというそれだけで、薬と変わらない効果を発揮してしまったなんて実験がある。
被験者が飲んだのはただの小麦粉玉だ。

 

ではこの効果を「天狗」の概念に応用するにはどうすればいいか?


天狗概念は超自然に対する原点回帰であると先ほど書いた。それと同じことをする。設定を作ってやるのだ。

 

例えばお盆。
この時期になると先祖の魂が帰ってくる[要出典]。いち早く帰ってきたい気持ち[要出典]を酌んで、往路の乗り物にはキュウリの馬を用意する慣わしだ[要出典]。


バカが編集したwikipediaになってしまったが要旨は伝えた。それノリで決めてない?な設定でもいいのだ。

 

 

早速やってみよう。


とりあえず「天狗」を具体的なものに定める。
折角だから少し個人的なことにしよう。最近ツイてないので、これを天狗のせいにする。

 

次に設定を考えよう。
不運…恐怖…そういったものの擬人化は古来から為されている。霧のように実態がなく…人間が不利益を被ることで存在し…そして不死身…それこそ天狗…

 

OKつまり日光かニンニク、あるいは白木の杭に弱い。

 

23時間半屋内にいる今の俺が日光を摂取するのは事実上不可能。白木の杭はamazonで扱っていないのでダメ。(恐竜キットが出てきた)

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消去法でニンニクだ。
できるだけ強烈なやつがよい。
なにせここ数日は酷かったのだから!
電車とか!売り切れとか!濡れた床とか!滑るし!
思い出したら腹が立ってきた!!


ウオオオアアーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

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〜HAPPY END〜