邪悪なパンダと輪廻転生

「死んだらどこに行く?」という疑問に答えるのも、宗教の役割の一つだ。

 

天国とか地獄とか具体的な場所が用意されているパターンも多いが、そうでない宗教も当然ある。仏教ヒンドゥー教が一例だ。

 

それがいわゆる「輪廻転生」である。
死んでも魂は朽ちない。別の肉体を与えられて生まれ変わり、そのループを抜け出せるのは限られた者のみ…という世界観である。

 

ここで問題になるのは「何に生まれ変わるか?」だ。 確かに、お前の来世はカマキリだ!と言われていい気はしない。朝自転車で潰されてるのを見たからだ。

 

虫より魚、魚より鳥、鳥より人…と、より高級な生物に生まれたいのが共通認識だろう。さかなクンは例外だ。(調べたらクラゲになりたいらしい)

 

では転生先は何によって決まるか?
それは現世で積んだ「徳」である。細かい定義はさておいて、多分おばあさんの荷物を手伝ったらゲットできる類のものだ。

 

つまり、前世においてかなり善良だった魂が現世において人間となれるのだ。

 

ハイここ!
ここがおかしい。明確におかしい。

 

100年もすれば地上の人間は殆ど入れ替わる。

いわゆる「魂」が一体全部でいくつあるのか知らないが、全魂口(読みかた:こんこう)のうちトップ70億の成績優秀者しか人間になれないはずだ。

 

ではなぜ悪人がいる?
上澄み70億を使っても悪人が撲滅できないとすると、人間以外の生物にはよっぽど邪悪な魂が使われていることになる。

 

100人殺して死刑になったシリアルサイコキラーの来世がオキアミだとして、太平洋にはそんな殺人オキアミがウヨウヨ泳いでいることになる。怖。

 

地球上にオキアミは500兆匹以上いるらしい。
この地球上、殺人シリアルサイコ魂が500兆以上存在する。クジラはそれをバクバク食べてる。毎食。怖。

 

さすがに怖すぎる!こんな殺伐とした地球は嫌だ。
これはもしや、前提が間違っているのではないか?

 

考え抜いた末、徳を積んだ先のゴールを見誤っていた可能性に到達した。


前世に良いことをした魂は、こぞって人間に生まれ変わると先ほど考えた。

 

多分これが違う!
人間という選択肢は、確かに魅力的に映る。実際できることの多様性で言えばトップだろう。

 

しかし、それ故に苦労も多い。鳥になりたいとか私は貝になりたいとか言ってる人を見たことはないか?野生動物が過労死するか?

 

人間より目立たず、しかし生活は豊かで、苦労も少ない…
そんな生物がいる筈だ。
いなければ辻褄が合わない。

 

 

 

結論から言おう。
パンダだ。

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パンダはよい。
笹だけ食べるので一見バカか?と思うが、これはつまり笹が最高にうまいのだ。きっとそういう身体なんだろう。

 

タイヤでゴロゴロするだけで人々を癒し、人間は喜んで彼らを養い、子供が生まれれば全国ネットで中継し、祝う。生まれながらのスーパースターだ。動物園こそ彼らの武道館だ。これこそが理想だ。輪廻転生すごろくのアガリは「パンダ」だ。

 

ちなみに次点で猫がいる。
気ままなイメージ、愛嬌、肉球など、やはり人間にはない魅力がある。

 

それでもパンダには勝てない。パンダは漢字だと大熊猫で、文字通り猫と熊の上位互換である。

 

猫がカレーで熊がライスとして、そこにさらに「大」というカツが載ってパンダは完成する。きゅうり二本で構成される「人」の字とは比較にもならない。

 

優秀な魂はパンダになる。それに次ぐ魂も猫になる。人間になるのは、所詮それらの絞りカスである。

 

パンダを湯葉、猫を豆腐とすると人間はオカラだ。   オカラときゅうりで美味しくなるビジョンが見えない。

 

シズル感0。インスタ映えも0。

そんな写真を上げた日には晒され、吊るされ、デカ目、全身を四角く加工された上で鳥葬に晒される。

 

そしてお前の写真はネットの海を渡り、無数の「いいね!」に呑まれて朽ちる。その身体はシリアルサイコオキアミに食われ、魂は次の肉体を求める。さらなる「いいね!」を得るために…

 

インスタグラム、こわ。。。

(おしまい)