真の男はどうぶつを積め
よく来た。
まずはインストールしろ。
そして何戦かしろ。
ASAPでやれ。
やった?
ほんの数戦のうちに、ゲームの単純さ、複雑さ、潜在するカオス、秩序の形成、ヤギ……そういった要素に気がついたはずだ。
今回のテーマは今最高にアツい対人ゲーム
『どうぶつタワーバトル』だ。
インストールを終えたおまえは、アプリを開く。
その瞬間、おまえの自我はサバンナに飛ぶ。
サバンナはおそろしい世界だ。
生き抜くためには、勝たねばならない。
水、食糧、女、権力、ドラッグ……
持つ者と持たざる者を分かつための闘争。
広漠たるサバンナ。雨季とか乾季。ヤギチャン。
それが『どうぶつタワーバトル』の世界観だ。
プレイヤーは皆、どうぶつを積むうちにそうした不文律を理解し、カバを重ね、シロクマに泣く。戦いの日々の中でおまえはタフネスを獲得していく。
ユダヤ系のタヌキに悪徳ローンを強いられ、拝金スローライフに勤しむおまえはもういない。どうぶつは積むものであって、媚びたり、アイテムを渡したりする対象ではないのだ。
理性によって野性を制し、その純度によって勝敗を決する。『どうぶつタワーバトル』の本質が"人間賛歌"であることに、おまえは遠からず気づくはずだ。
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今のゾウは場面転換の意味だ。
何はともあれ『どうぶつタワーバトル』はたいへんにおもしろいゲームなので、ぜひやってみて欲しい。
おれは立場上ゲームにかまけていられず、43度の湯に浸かってるときしかプレイできない縛りが課された。
(ジップロックで包まれたスマホは操作性が最悪で、しばしばトナカイの扱いをミスる)
そんな訳でおれはゆでダコになりつつ戦歴を積み上げている。
その中で気づいた事項を書き残すので、どうぶつ戦士諸君は参考にしてもらいたい。
とはいえ、実は先達のブログが存在し、筆者は皆狂人級レートを持つ強者である。
下記のブログの内容と重複する内容は基本はしょっていくので、できればこちらを先に読んでもらいたい。
【DTB】どうぶつタワーバトル 高レートを目指すコツ : カリウムのゲームブログ
『どうぶつの森』ではなく『どうぶつタワーバトル』やってくれ - おいしいそうなケーキ
どうぶつタワーバトル
①重心を考えろ
初心者を脱出するために何より大事なのが、重心に対する知識である。
力学の観点から言って、大きさのある物体が静止するためには2つの条件が必要だ。
(A)外力がつり合っている
(B)モーメントがつり合っている
Aは比較的わかりやすいだろう。
すべての物体には重力が働き、触れている物体からも力を受ける。
上下左右向きのそれぞれの力が、ちょうど打ち消しあっていなければどうぶつは動いてしまう。
問題はBの方だ。
なんのこっちゃと思うだろうが、こういう問題をやった経験を思い出してもらいたい。
要するにモーメントとは
「(ある点からの距離)×(その点にかかる力)」を示す用語で、時計回りに回す向きのモーメントと、反時計回りに回すモーメントがつり合っていないと、物体は回転をはじめてしまう。
よって「棒が静止してるとき、Aはいくつ?」という問題なら、
10×40+A×20=10×10+20×30を解けばよい。
これを意識しないとどうなるか?
おまえのどうぶつ塔はあっけなく崩れ、頂上に置いたパンダはゴロンゴロンと落ちていく。
これを防ぐために、重心の知識が必要なのだ。
実は、どんな大きさの物体であれ、重力はその重心の一点に作用すると考えればいいことが知られている。
「(ある点からの距離)×(その点にかかる力)」
の、「ある点」を「重心」に置き換えて考えよう。重心から重心への距離はゼロ。従って、重力由来のモーメントがゼロとして考えられるのだ。
こうなると、状況がいくらか簡単になる。
重力のことは忘れ、他物体から受ける力だけを考えて、重心を基準としたモーメントがつり合っていればそれでOKだ。
まだなんのこっちゃ色が消せないので、もっと単純化する。
「重心から等距離にある点に、同じくらいの力をかける」
これが意識できれば、おまえのどうぶつは格段に安定度を増すだろう。
必要以上に小難しくなったので、初手にこれを書いたのを今後悔している。
でも置いたどうぶつはもう動かせない。
それがサバンナ。
②どうぶつの特性を学べ
特性、と一口に言っても色々ある。
上述した重心ももちろんその1つだが、ここでは特に「置き方」について記述したい。
たとえば、
《初手にゾウを引いたら8割勝ち》
と言われてピンと来るだろうか。
これは「5象」と呼ばれるテクニックで、5回回転ボタンを押した象はなぜか平面に直立する。ウワースゴーイみたいなヌルい気持ちでうかつに触れてはいけない。自分の手番が来て、適当な行動をとった瞬間、新たな外力によってゾウのつり合いは崩れ、おまえのどうぶつはあっけなく弾き飛ばされる。
上位サバンナ戦士のコミュニティでは各どうぶつごとの5象対策法が研究されつつあるそうだが、いずれも高難度の技術が要求される。安定してゾウを躱すことができるのは、一部のどうぶつだけだ。
《初手5象は魔技》
これを肝に銘じてほしい。
次に把握すべきは、各どうぶつの「縦積み」が可能なポジションである。
(▲この虎が縦積みの成功例)
たとえば終盤、直前に相手が置いた部分以外に置き場所が無いような、積み合いシチュエーションは頻繁にみられる。画像もその一例だ。
そこで活躍するのが「縦積み」である。
縦積みを成功させれば、次ターン相手は超狭いゾーンへのズーツミング(どうぶつを積むこと)を要求される。事実、画像の後対戦相手はあっけなくミスズーツミング(どうぶつを積み損なうこと)し、サバンナの肥やしになった。
「2虎」(2回回転ボタンを押したトラを直立させるテクニック。別名イエッタイガー)を筆頭に、どうぶつ直立テクニックはもっとも研究が進んでいる分野のひとつである。
もし相手がそうしたテクを披露してきた場合、ぜひ吸収して自分のものにしたい。
最後に、ウミガメについて。
終盤において真価を発揮するのが「ヤギチャン」「シロクマ」そしてウミガメだ。
シロクマは構造が正三角形に近く、重心も安定しているので置きやすい一方で、その上には積みにくい。ローリスク・ハイリターンなトラス構造を有しているからだが、ヤギチャンとウミガメは単純にその小ささが強い。
(ヤギチャンの正式名称はヤギであるが、小さくかわいらしいのでヤギチャン呼びが精神的に正しい)
軽いのでタワーに対する負荷も小さいうえに、とした隙間に入り込むことも可能。その分他のどうぶつに比べ無茶な位置に置きやすい。
しかしウミガメでそれをされたなら、逆に利用できることがある。
このヒレがミソだ。
ヒレが上向きになって置かれているとき、ラクダのコブや四足の股のようなスキマにヒレを差し込むように落とすことで、見かけ以上の強度を得ることができる。
凹凸の合体によって安定を得ることから、おれはこの技を「国産み」と呼んでいる。
この他にも、おまえは数多の戦いの中で多くの技を受け、吸収するだろう。
それがサバンナ戦士としてのおまえを強くする、真なる牧草なのだ。食め。タフになれ。
③高所恐怖症になれ
「不安定そうだが高所にある」
「いくらか安定してそうだが低所にある」
このときおまえが選ぶべきは、前者だ。
サバンナでの物理法則が現実と同じであることを前提とした理論ではあるが、高所から落としたどうぶつは、見かけ以上の運動量を保持している。おれはこれを経験から学んだ。
これつまり、落下の際、付近のタワー構造に対し想像以上のインパクトを撒き散らすという意味であり、想像していなかったタワー崩壊を招く。
高い距離から落とす行為は、それだけでリスクを孕む。ぜひ覚えておいてもらいたい。
④シャドバ勢に気をつけろ
爆発的ブームが巻き起こり、現在進行形で研究が進むサバンナにおいて、「知識」がおまえのマグナムになることは前述した通りだ。
ならば上位プレイヤーを多く擁し、密接なつながりを持つコミュニティがあれば脅威になることは言うまでもない。
そんな集団が実在するのか?
する。
デジタルTCG『シャドウバース』からの移民である。
アグロとかナーフとかコントロールといった用語であったり、やたら攻撃的な登録名など、シャドバ勢であることを識別すること自体は難しくない。
彼らは情報を共有しあい、常に最新の情報を入手しているため厄介だ。良い意味で歴史の浅いゲームなので、「5象」のような魔技がいつ発見されるかわからないし、無知のために食われるのはおまえだ。
こうした技術としては、特定のどうぶつ・斬新な角度・偏執的位置取りによってどうぶつをステージの端にひっかける「拡張」がその好例である。
これを活用されると、追い詰めたはずがなんかすごい奇手で躱された…みたいなことが十分に予測できる。シャドバ勢、ないしはオタクくさい名前の相手と当たったら、真っ先にステージ端をつぶすことをお勧めする。
(▲べつに悪質なコラとかではなく、拡張をマスターした戦士が戦うとこうなる。らしい。)
……と、だいたい書ききった。
けっこうな文量になったが、実際に戦に臨んだ戦士にとっては(明文化されてないにしても)当然のことばかりが書いてあったかと思う。
繰り返しになるが、『どうぶつタワーバトル』は面白い。
命を削った長風呂が必要なおれにかわって、どうぶつグランドマスターを目指す同胞が生まれれば幸いである。
今現在この文も臨死長風呂によって書かれていて、そろそろ死にそうな気がする。
まだまだ語りたい話題は尽きないが、ここで筆を置こうと思う。
タフになれ。
(おしまい)